アタシんちの家族

昔このジィは、いわゆる「教官」もどきの職についていたせいか、それはそれは女性によくモテた。そして不倫騒動をきっかけに、ある日突然、なななんと家族を捨てて家を出て行ってしまうのである。まだ子供だった私は父親が家族を捨てたことに酷く傷つき悲しんだが、そんな父不在の環境にもやっと慣れてきた頃、今度は母親が義理父候補なるインテリ君を連れて来たのだ。が、このインテリ君、私と全く反りが合わず、反抗期の私をボッコボコに殴り蹴り倒すという事件を起こす。それをきっかけに一家離散。以来、お互い干渉することも無く、それぞれ好き勝手に生きてきた。良く言えば自由なのだが、ちょっと変わった家族である。

あれから数十年、相変わらず勝手気ままな一人暮らしを続けていた。ただ自分も親も歳だけは確実にとっているし衰えもきている。いつかは面倒見なきゃだな・・・と思うようになっていたそんな矢先、その日は突然やってきた。

昔から問題大有りの糞ジジィだけに、再び一緒に暮らす状況に戸惑いもある。が、それでも親は親。なんとかなるのだろう、きっと。