ウナギ弁当の呪い

部屋でテレビを見て居ると、異様な匂いが漂ってきた。

ん?なんじゃこりゃ?例えるなら、墓場から蘇ったゾンビのような匂い?

匂いの元を辿ると、案の定、ジィの部屋から漂ってくる。

しんでんのか? いやついさっき「おやすみ」って言ってたし・・・。

おそるおそるドアを開けると、この世のものとは思えぬ臭気にオエってなる。

部屋を見回すと、テーブルの上に見慣れぬ怪しい物体が! 

こ、これは・・・ウナギ弁当の食べ残しじゃ?買ってきたのは先週?いやもっと前だったか?

半透明のビニール越しにうっすら見えるカビが半端ない。

夕食時には無かったし、ついさっきまで匂ってこなかったということは、食べ残しを「押し入れ」又は「タンス」にしまう何時ものパターンか?とにかく臭いなんてもんじゃない。

まだ起きていたジィに、「ウナギ弁当が腐ってて臭いよ。なんでココにあるの?食べ残し、ドコにしまっていたの?」と問い詰める。

「腐っていない!臭くない!お前がおかしい!」の一点張りだ。おまけに鬼の様な形相で睨みつけてくる始末。

ジィのポンコツぶりとその鬼のような形相、たかが腐ったウナギ弁当、されど腐ったウナギ弁当、アタシの怒りが頂点へ達した。

とりあえず一部始終をバァに言いつける ⇒ 機関銃のごとく怒りをぶちまける ⇒ 呪われたウナギ弁当を前にバァと大笑い ⇒ 怒り収束 ⇒ 終了!

少し頭を冷やしまして・・・

まず、ジィを問い詰めることがそもそもの間違いなんだろなぁ。相手が認知症という病気だと心得ること。もっと寛容になりたいと思うのだが、、、ま、出家でもしないと無理ですわ(汗

ともあれ、こんな時に話せる相手が居るってことは、なんて幸せなんだろう。

誰かが居るって幸せだ。つくづくそう思う。